保護者の声

 
こども造形教室ダ・ヴィンチでは、お子さんの様子や指導についてなど、いつでもどこでも気軽にお声掛けをいただいております。そんなやりとりの中のひとつをご紹介します。

【ご相談1】

 子どもが「描けない」「どんなふうに描けばいいのかわからない」と言ったとき、どのようにすればよいのでしょうか?
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【ご相談2】

うちの子(6歳)は人物を正面からしか描きません。いろいろなポーズが描けるようになるのか心配です。
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【ご相談3】

 鉛筆の下描きまではいいのですが、絵具で描きだすとグチャグチャになってしまいます。(3年生)
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【ご相談4】

作品の保管はどのようにしたよいのでしょうか?
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教室が毎回発行する、保護者様向けのおたよりです。
課題の主旨などを事前にお伝えして、親子でご理解していただくものです。

【ご相談1】

子どもが「描けない」「どんなふうに描けばいいのかわからない」と言ったとき、どのようにすればよいのでしょうか?
(6~8歳の生徒さんの保護者様)

【回答】
その生徒さんは、工作の課題と描画の課題との表情の差が明らかに見受けられます。最近は慣れてきましたが、質問に答える言葉数は多くないほうでした。同じ年頃の生徒の作品が気になるようです。入会当初は、私にも「できない」「それからどうするの?」を連発していました。

一般的な例として、6~8歳年齢期の子どもには、どのような心理が考えられるでしょうか。3つに要約してみました。

1.大人の邪魔

 まわりの大人が批判(善かれと思って欠点を指摘する)したために、自信を無くしてしまう。その場合、大人からとやかく言われたくないために「描けない」と言って、逃げ込んでしまいます。

★頭ごなしに描けない理由を聞いたりしないで、「日曜日なにして遊んだ?」「好きな動物は?」など、子どもの経験や記憶が表面化するのを根気よく、興味を持って手助けする声掛けが有効です。「ゾウの鼻はリンゴをつかむことができるんだね。すごいね!」と、興味の共感事項を丁寧に探すことが大切です。

2.心の中が空っぽ

 描くための動機がなくては描けません。興味のないこと、感動したことのないことを無理に描くのは苦痛です。

★描くための動機とは、子どもが体験したことがあるかないか。
たとえば、テレビでしか夕焼けを見たことのない子は、空いっぱいの夕焼けの感動を描くことができないのと同じです。ご家族において、子どもが何を描きたいのかを見つけるチャンスをつくり出してあげてください。特別なことではなく、日常生活の中にも多くあるでしょう。

しかし、親が子ども目線で感動し、共感しなければ、子どもは同様の感覚しか持つことはできません。無感動無関心という状況だけは避けたいものです。

子どもの心の中の空っぽは、親子の会話によって、2倍10倍に膨らみます。ビデオや本を見せることももちろん大切ですが、なにより会話によってお互いの考えを交換することで、子どもの興味がはっきりしてくるのではないでしょうか。
花が大好きな子に、私が「きれいな色だね」と話しかけると、その子は「違う!花びらのカタチがおもしろいんだよ!」なるほど!感性の違いを教えられました。

3.真っ白い画用紙がこわい

 ぬり絵や手本を見て「楽」して描く(作る)ことに慣れてしまって、自分のイメージを考える経験がないため、指示や何も用意されていない状況に不安を覚えて、手が止まります。

★輪郭線の中を塗りつぶすだけの「ぬり絵」は何の練習にもなりません。手本を与えたままにしておくことも、考える力を委縮させる傾向があります。これははっきりしています。子どもの脳といえども、楽な方を選んでしまうからです。

これらに依存する子は楽をして、出来上がったことに誤った自信を身につけてしまいます。なにをどうしてよいのか自分で考えようとする訓練をしていませんから、いわゆる指示待ちやマニュアルがないと不安になる大人と同じです。白い画用紙を前に、その挫折が厳しいものになります。

これらをほおっておくと、心の成長に影響することはすでに多くの実例が証明しています。感性や創造力を養うといっても、特別なことを先行して学ばせる必要はありません。日日の生活で小さな喜びや興味に、紙と色鉛筆などが身近にあれば、ある子は言葉で、ある子は絵や形で伝えようとするものです。そこに、少しの困難、努力、我慢、辛抱があれば、子どもは強いものです。

ダ・ヴィンチでは、作品を「子どもの仕事」と解釈しています。楽しいこと、好きなことばかりを課題にすることはしません。それでも、子どもたちは笑顔で自分を表現します。

あれから半年が過ぎました。
その生徒さんは良い意味で私に甘え、程よく反論してきます。自分の思いを絵や形にぶつけられることに安心しているようです。教室で制作した作品は、家庭に帰って自分なりに付け加えられ、壁に貼ってあるそうです。
また、ある生徒さんは空き箱でつくったクルマの修理を繰り返しながら、ボロボロになるまで遊んでいる、とのことでした。そんな子どもたちの心の中には、「次はこんなふうに工夫しよう」という、新たな創作エネルギーが芽生えているはずです。私はそれらが見られるのを楽しみにしています。

【ご相談2】

うちの子は人物を正面からしか描きません。いろいろなポーズが描けるようになるのか心配です。
(6~8歳の生徒さんの保護者様)

【回答】
この先、しばらくすれば変化が見えてきますからご安心ください。

造形表現の発達段階について短くお話しします。(4~10歳期)

◆4歳前人の形が表現の主題となる。丸・点・線で自分または身近な人の全身を描こうとする。(頭足人間と呼ばれている絵)

◆6歳以前では自分の表現したい絵を描こうとすると、まるで商品が整然と並べられたカタログや記念写真のように自分の好きなものを正面にして並べて描き上げます。もちろん本人はテーマを持っているのですが、描く対象がどれも画一的(全身正面向き)で、大人の目には「動きのない絵」「並んでいるだけの絵」と映ります。この年齢期の発達段階は[カタログ期]と呼ばれています。

◆7・8歳を過ぎると、見たものをイメージとして一旦覚え、自分が知っているとおりに描こうとする。そして対象物を大まかな「面]で表現しようとしてきます。正面、横向き、後ろ向きが組み合わされて描くことができるようになります。動きが出てきます。
エジプトの古代画をイメージしてみてください。顔は横向き、体は正面、脚は横向き(ヒジやヒザが折れている)絵のように変化してきます。この年齢期の発達段階は[知的写実期]と呼ばれています。

◆9歳を過ぎると観察力も増し、見たとおりに忠実に描こうとします。「面」から奥行き(遠近感の目覚め)を覚えるので、人物なども斜め横向きから描けるようになります。この年齢期の発達段階は[視覚的写実期]と呼ばれています。

◆10歳を過ぎると表現する能力に、認識する能力(理解・比較など)が勝る時期に入り、造形描写などの表現力が一時的に停滞期を迎える子もいますが、これも成長過程のひとつですので心配はいりません。

このように発達段階を一歩一歩確実に上がってゆくもので、多少の時間差は気にしないようにしたいものです。
これまでも幾度もお話していますが、順調な発達過程において大人の価値観の押しつけ、努力過程を知らずしての評価や指摘だけは避けなければなりません。
本当は絵が描きたいのに、幼少期のそうした傷を受けて高学年でコンプレックスになることは少なくないのです。

「何度言ってもキャラクターやアニメをまねして描いてばかりいる」(8歳)>というご心配もよく聞きます。
それを 禁止するのではなく、軽く受け応えするくらいで 本人の気が済むまで、やりたいようにさせてあげてください。
モノマネから得るものも意外にあります。同じキャラクターを長く描き続けることはありませんから問題は残らないものです。

「今度は大好きなキャラクターと家族で食事している絵が見たいな」「そのキャラクターと一緒に公園で犬の散歩をしているところを見せてね」など、関心をキャラクターの世界以外の多方面に向けさせるように、声かけをしてもよいと思います。
8歳前後になると自分自身の生活感の中にキャラクターが登場する絵に違和感を覚えてくるようになり、自然に消滅することでしょう。

[考察]

「粘土工作についての考察」
子供には人気のある粘土課題ですが、意外な理由で苦手意識を持ってしまう課題でもあります。教科書出版社のサイトに講師の考察を掲載しています。ほかにも大学から小学校まで多くの先生方の考察があります。参考にしていただければ幸いです。

開隆堂出版「工作室・美術室オンライン」

【ご相談3】

鉛筆での下描きでは、思うように描けるのですが、水彩絵具で着色しだすと、筆の扱いに苦労しているのか、はみ出したり、ガサガサした塗り方になってしまいます。色も濁ってしまい、暗く粗い絵になります。筆使いのコツはあるのでしょうか?
(3年生の生徒さんの保護者様)

【回答】
●筆の選び方
★広い面を塗るときは平筆を使います
★細かなところや細い線を引くときは丸小筆を使います
★一本の筆だけですべて描いてしまうことの無いように注意しましょう


●筆の持ち方
鉛筆と同じです(特別なタッチで描く場合は別です)
★軸の上の方を持って描くと、フラフラして自由に筆が動きません。
また、筆を寝かせて(斜めに)描くと、筆の面が広がり、絵具がはみだしてしまいます。


●絵具の量と水分量
 
チューブの絵具をそのまま、筆に取り描くと、濃すぎて(カサカサ)筆が走りません。反対に水の含ませ過ぎ(シャビシャビ)も注意しましょう。
★絵具を筆に取ったら一度、パレットの縁で筆先をしっかりと整えて、絵具を適量にしましょう


●筆洗いについて

筆洗いバケツのそれぞれのプールには役目があります。
(各自のパレットによっては3~4つのプールに分かれています)
①色を変えるために筆を洗う大きなプール 
②毛の奥に残る色をすすぐための小さなプール
③きれいな水を筆に含ませるための小さなプール
★すすぎをしっかりとしないと毛の奥に絵具が残り、色が濁ってしまいます。


●描く順番について

となりに別の色を描くときは、先に描いた絵具が乾いてから塗りましょう。にじんでしまいます。水彩絵具描画において一番のコツです。
(高学年生のにじみ画法は別です)  
2年生以下は自由に「色あそび」を経験させます。

なるべく同系色のグループを続けて塗るようにしましょう。
少し描いてすぐに別の色、またすぐに色を変えてなどを繰り返すと、筆洗いの時間ばかりがかかってしまいます。 
2年生以下は自由に「色あそび」を経験させます。

なるべく利き手と反対側から描き始めましょう。汚さなくてすみます。
大きな画用紙の場合などは、絵を回転させてもよいでしょう。


●色は自分で作る

チューブからそのまま出した色だけでは、豊かな表現になりません。
相性の良い色を混ぜたり、白色や黒色を混ぜながら色数を増やして描きましょう。
(教室では色環パネルで指導しています)

【ご相談4】 作品の保管はどのようにすればよいのでしょうか?

結論からお話しますと、子どもの了解を確認すれば廃棄してもよいでしょう。
子どもの汗と涙で作り上げた結晶を、親心としてはいつまでも残しておきたいとは思いますが、当の本人は意外とさっぱりして、聞けば「捨ててもいいよ~」とあっけない返事があることでしょう。子どもは物づくりの過程を楽しんでいるのであって、完成時の感動はすぐに次の目標に向く、スタートラインになるものです。逆に言えば、一度の作品完成で満足して次への意欲が弱くなるほうが心配です。
また、作品への愛着については、一人ひとりの感受性の差がありますので、さらに充分な了解確認が必要です。
ここでご理解いただきたいことは、多くの大人が忘れてしまっていること、つまり制作過程での発想の努力や問題解決への決断勇気、さらには次への探究心や期待などは完成品(結果)からはよく見えないものです。
   *「いちばんたいせつなことは、目に見えない。」
     サン=テグジュぺリ 星の王子さま より

○具体的な廃棄方法について○
本人の了解を確認(Noと言ったらまた一ヶ月後に)
Noの理由を丁寧に理解してあげる。たとえば問いかけとして、「近所の小さい子がとても欲しがっているからあげてもいいかな?」などと自尊心を傷つけないように納得してもらう。
作品とツーショットで写真に残すこともよいでしょう。
自分からバラバラにする子もいることでしょうが、それもステップアップとしての経験記憶になることで、止める必要はありません。発散させてあげましょう。

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